コーピングについて学ぼう

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 はじめに 

みなさんこんにちは。臨床心理士のRyuです。

本日は、『コーピング』についてお話しします。コーピングとは、「物事への対処法」という意味で用いられるメンタルヘルスの用語になります。私たちは普段、困ったことがあったときや疲れたとき、ストレスがたまったときなどに、何かしらの対処をして過ごしています。大抵の場合は、 “何気なく行っている対処法” で乗り切れるかもしれません。
ですが時として、その対処方法が効果的でなかったり、むしろ事態を悪化させるようなもののときもあります。そうなれば状況にうまく対処できず、事態を悪化させたり、時には健康を大きく乱してしまいます。この “何気なく行っている対処法” を、より効果的に、戦略的に用いるための概念がコーピングなのです。

この記事は、最近会社や学校がしんどいと感じる方や、メンタルヘルス対策を検討している人事担当者の方などを対象に書きました。役立つヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。

 コーピングとは 

日本では、1998年以降、自殺者数が3万人を越えて推移しており(最近は減りました)、また『ブラック企業』等という言葉にみられる労働環境への注目を背景に、2015年に、従業員50名以上の会社が社員に対して行う『ストレスチェック制度』が始まりました。その翌年、NHKで『キラーストレス』という番組が放送されたのですが、その中でコーピングという概念が大きく取り上げられ、一般に知られるようになりました。私も当時、この番組をみて、大変興味を惹かれたのを覚えています。

コーピングをもう少し具体的に見ていきましょう。例えば、会社で何か嫌なことがあったとしましょう。家に帰ってそのことを思い出すと、後悔したり、落ち込んだり、自信を失ったり、落ち着かなかったり、あなたにとって非常にストレスフルな体験だったとします。この状態が続くのはとてもつらいですよね。ですから私たちは、この苦痛をどうにかしようと様々な対処を試みます。
気晴らしに温泉に行ったり、映画を観たりしてリフレッシュすることもあると思います。その体験を愚痴として誰かに話すこともあると思いますし、そこでお酒を飲んで笑い話に変えることもありますよね。他には、冷静に今回の件を振り返って教訓にすることもあるでしょうし、思い切りお金を使って暗い気持ちを発散するかもしれませんし、一日ぐっすり寝て忘れてしまう方だっていますよね。このように、私たちは、様々な方法を使って自分のストレスに対処しようとしているわけです。

先述しましたが、私たち専門家がコーピングという言葉を使うときは、「ストレス(自身のなかにあるモヤモヤや、ストレスに感じる対象そのもの)への対処」を目的とした、より意識化された行動を意図します。つまり、こういった対処法を「何となくやる」のではなく、戦略的に用いることを意図して、コーピングという言葉を用いるのです。対処法を豊かにし、整理してリスト化することで、個人のストレス対処能力を向上させることが出来るのです。

 2種類のコーピングとソーシャルサポート

FolkmanとRazarusというアメリカの研究者は、コーピングを2つの機能に分類しました。

(1)問題中心対処

ストレスの原因となる出来事や状況そのものに働きかけて、解決を図ったり、状況を変化させることで、ストレスを低減させるような機能。
例)解決方法を考えて実行してみる、専門家に相談してみる、勉強してスキルを向上させる

(2)情緒中心対処

状況や結末事態は変わらないが、その意味合いを変化させることで、状況をストレスと感じにくくし、精神的な安定を保つような機能。
例)教訓にする、考えないようにする、プラスの側面を見出す、気分転換をする

(3)ソーシャルサポート

また、これらに影響を与える要素として、『ソーシャルサポート』という概念があります。日本語では社会資源ですが、これは、私たちを助けてくれる『制度』『人』『道具(お金などを指します。このソーシャルサポートの有無が、コーピングに影響を与えるとされています。もう少し詳しく解説しましょう。

例えば、知り合い(ソーシャルサポート)が多いAさんがいたとします。Aさんが困りごとに出くわしても、たくさんの人に相談をして、自分の気持ちを整理することが出来ますし、多くの意見や情報を集めることが出来ますね。また、例えば引越などで人手が必要なときにも、誰かが手伝ってくれる可能性は高いかもしれません。それから、「自分にはこれだけ助けてくれる人がいる」という感覚自体が、Aさんの自信を高め、ものごとに立ち向かうエネルギーになるかもしれません。このように、ソーシャルサポートが充実しているほど、問題中心対処にも、情緒中心対処にもプラスの影響をもたらすのです。

こういう話をすると、「自分には助けてくれる人なんていません」と仰る方がいます。そういう場合も確かにあるとは思いますが、実は自分が思い込んでいるだけ、ということもあります。例えば、過去の人間関係を振り返ったとき、学生時代にお世話になっていた恩師ですとか、前の部署でお世話になっていた先輩、ずっと連絡をとっていない学生時代の友人などが浮かびませんか。いざ連絡をとってみると、意外と力になってくれることもあります。

また、ソーシャルサポートには、お金さえ払えば簡単に得られるものもあります。困りごとの種類にもよりますが、具体的な知識が必要なものは、その手の専門家を頼るのが一番早いと私は思います。カウンセリングであれば、会社や家族に関する悩み等を広く扱えます。

 コーピングの増やし方 

コーピングは、「質より量」と言われています。一見バカバカしいと思うことでも、それらを豊かに持っていることが、私たちの心に安定をもたらすようです。それでは、どのように量を増やしたらいいのでしょうか。大事なのは、コーピングを様々な視点で考えられるようにすることです。いくつもの視点があると、思いもよらないコーピングが見つかることがあります。その視点についてご紹介します。

(1)一人で/みんなで

コーピングを考えてもらうと、一人で行うことばかり書き出す方がいます。例えばカラオケであっても、1人カラオケと複数人で行くカラオケは、楽しみ方や満足度などが異なりますよね。両者の視点はバランスよく持っておいてください。

(2)実際の行動として/イメージとして

コーピングとして『旅行』を挙げた方がいたとします。「旅行に行く」というのは、行動としてのコーピングですね。一方、イメージのコーピングというのは、「次にどんな場所に行こうか」「行くとしたら誰と行こうか」「どんなお店に寄ろうか」と、考えること(イメージすること)を指します。これだけでも楽しい気分になりませんか。イメージすることのメリットとしては、手軽さが挙げられます。実行するのにお金も時間もかかりません。また実際の旅行による楽しさを長続きさせるのにも役立ちます。行動としての旅行であれば、楽しいのは旅行中だけです。しかしイメージであれば、例えば旅行に行く1か月前などから楽しむことも出来ますし、写真を見ながら「楽しかったなあ」と思い出に浸ることもできます。

(3)アクティベーション/リラクゼーション

コーピングについて話していると、よく「ストレス発散」と混同される方がいます。ストレス発散は、コーピングの機能の一つであって、全てではありません。このような方の中には、コーピングと言えば、「運動」「カラオケ」「友達と旅行」「習い事」など、アクティベーションというのですが、活動的なものに終始してしまうことがあります。こういった行動は、確かにストレス発散になり、楽しさやエネルギーを充電することは出来ると思いますが、単純に疲れてしまいます。そこで、「昼寝をする」「あえてぼーっとする」「明日のことは明日の自分が何とかしてくれると考える」「マッサージを受ける」など、疲れを癒すことも取り入れてみてください。患者さんによくいたのが、土日に予定を入れ過ぎて、いつも「忙しい忙しい」と口にし、月曜にヘトヘトで来院される方です。思い当たる方には、せめて日曜の夕方は「何も予定を入れず帰宅する」というコーピングを選択肢として持っておいて欲しいと感じます。

(4)バリエーションを考える

「旅行に行く」「美味しいものを食べる」「入浴を楽しむ」「ペットと戯れる」「ゲームをする」などは典型的なコーピングですが、これらをそれぞれ1つずつで数えるのはもったいないと感じます。というのも、一口に「入浴を楽しむ」と言っても、様々な楽しみ方が出来るからです。例えば、「いつもは試さない高級な入浴剤を試してみる」「柚子を入れてみる」「観たいと思っていた映画を観ながら入浴する」「好きな飲み物を楽しみながら入浴する」「アロマキャンドルを楽しむ」「お気に入りの顔面パックをしながら入浴を楽しむ」など、少し考えただけで6つもバリエーションが出てきました。これを更に、映画のタイトルや入浴剤ごとに書き出せば、それだけで20くらいは簡単にいくと思います。このように、より詳細に考えていくことも、コーピングを増やすためには大事な視点になります。

 コーピングの選び方

コーピングの具体的なイメージが膨らんできたでしょうか。それでは次に、コーピングの選び方を見ていきましょう。2つの軸に沿ったバランスを考えてみます。

(1)『効果』と『コスト』のバランス

コーピングの中には、簡単に出来るものもあれば、取り組みのハードルが高いものもあります。例えば「ディズニーランドに行く」を挙げたとしますね。夢の国ですから、日常の嫌なことは忘れられるでしょうし、好きなキャラクターやキャストさんと会って、心のエネルギーを補充できるでしょう。何より、「今度ディズニーランドに行く」という予定が、つらい出来事を乗り越える原動力になると思います。つまり、『効果』という視点で考えると、とても優秀なコーピングなんですよね。

一方で『コスト』という視点で見るとどうでしょう。関東圏の方ならいざ知らず、遠方から行くには距離があるでしょうし、当然お金もかかります。何より、本気で楽しむには体力とエネルギーを使うでしょうから、帰宅後はぐったりです。若いうちはそれでもいいかもしれませんが、ある程度の年齢になると、その翌日が仕事……というのは、体力的に持たないかもしれません。そう考えると、『コスト』がとても大きいコーピングと考えられます。

優秀なコーピングというのは、この効果とコストのバランスが見合っています。もっと言えば、コストが低く、ある程度の効果が見込めるコーピングが、ストレス対処という視点ではよいコーピングになります。もちろんディズニーランドが悪いと言っているわけではありません。コストの大きいものばかりでは行き詰ることも多いので、コストの少ないコーピングも、たくさん持っておいて欲しいのです。

(2)『問題中心対処』と『情緒中心対処』のバランス

先ほど、コーピングには2つの機能があるとご紹介しました。この機能にも、ちょうどいいバランスがあります。情緒中心対処は、ストレスの根本的な解決ではなく、捉え方を変えることでストレスを低減させる方法だとご紹介しました。つまり、情緒中心対処ばかりを用いても、 “ストレスを感じる状況” はそのままそこに残されていることになります。これでは、いくら心を落ち着けようと思っても、難しいですよね。一方で、問題中心対処を用いれば根本的な解決が期待できますが、問題と正面から向き合うことになりますので心が疲弊してしまいますし、実際には “解決できない問題” もあると思います。

例えば、今の上司に不満を持っている方がいたとします。問題中心対処を用いるのであれば、自分のコミュニケーションスキルを向上させて苦手な上司ともうまく付き合えるようにするとか、上司を変更してもらうとか、極端な話になると、転職するといった方法が考えられます。しかし、どれもそう簡単に出来ることではありません。このような状況で問題中心対処にこだわっていても、つらいだけです。そんなときは、情緒中心対処を用いて、「苦手な上司だけれど、それも含めて学びにしよう」とか、「1年だけ頑張って、改めて今後について考えよう」とか、「誰かに愚痴を聞いてもらいながら何とかやっていこう」とか考えるわけです。基本的には問題中心対処を用い、たまに情緒中心対処を用いるくらいの人の方が、精神的健康を維持しやすいとされています。

Column コーピングの注意点

コーピングのなかには、それを選択することで状況が悪化したり、精神状態にマイナスの効果をもたらすものもあります。例えば、ストレス発散のためにお酒を飲むのは、適量ならほどよい効果があります。しかし過度に習慣化されてしまうと、お酒に依存して体調を崩してしまいます。他にも、「ドカ食い」「過度の喫煙」「ギャンブル」などはコストが大きすぎますし、「考えないようにする」「我慢する」「より努力する」などは、使い方次第でマイナスの効果をもたらします。


コーピングがマイナスに作用しているかどうかは、自分では判断がつかないこともあります。そんなときは、客観的に自分を見てくれるような人に相談をしてみるのも一つの手です。

 コーピングの使い方 

それでは、コーピングを実際に使ってみましょう。私がおススメする流れは以下の通りです。

(1)自分の困りごとを振り返り、課題となる場面を整理する
(2)自分の課題に対して有効そうなコーピングを書き出す。
(3)書き出したコーピングをどのように用いるかを検討して、実際に試す。
(4)最後に、試してみてどうだったかを振り返る。

(1)自分の困りごとを振り返り、課題となる場面を整理する。

人によって困りごとは異なります。ストレスが溜まっている方もいれば、肉体的な疲労がたまっている方もいます。苦手な人とのやりとりに困っている方もいれば、寂しさや退屈さに苦しんでいる方もいるでしょう。他には、どうしてもやめられない行為があって、それに振り回されている方もいるかもしれません。こういった困りごとを特定し、どんな場面でコーピングが必要かを考えます。人によっては、「特に場面は決めず、全般的に使えそうなコーピングを整理したい」でもいいかもしれません。

(2)自分の課題に対して有効そうなコーピングを書き出す。

何も考えず思いついたコーピングを書き出してもいいと思いますが、もし困りごとが特定の内容や場面である場合は、それに特化したコーピングをリスト化してもいいと思います。例えば、「長期休暇用」「お酒を飲んでしまいそうなとき用」「苦手な人への対策用」といった具合でしょうか。『コーピングリスト』として紙にまとめましょう。50個~100個ほど書き出すのがいいと言われています。たくさん書こうと思うと、普段なら思いつかないものも出やすくなるからです。

(3)書き出したコーピングをどのように用いるかを検討して、実際に試す。

せっかく書き出したのなら、どのように使うかを考えてみましょう。例えば、家に帰ると疲れてしまい、風呂も入らず寝てしまう。翌日疲れがとれぬまま出勤し、その悪循環を繰り返す。こんな経験はありませんか。実はこれ、私自身の話です。一度この悪循環に陥るとなかなか抜け出せないんですよね。

この困りごとに対して、「せめて入浴してから寝られれば睡眠の質も向上するし、朝シャワーを浴びなくていいので余裕のある朝を迎えられる」と考え、『帰宅して最初に入浴する』というコーピングを書き出したとします。しかし実際には疲れていて実行できず、帰宅してソファに腰掛けたまま寝てしまったとします。次に考えたコーピングは、『家が見えたら「よし、帰ったらすぐにお風呂に入るぞ」と口に出してから帰宅する』にします。先ほどよりは、うまくいきそうに思えませんか。このように、考えたコーピングをより有効活用できるよう、「いつ」「どこで」「どのように」使うかを考えます。

(4)最後に、試してみてどうだったかを振り返る。

試してみて「有効だな」と感じたら、ぜひそのコーピングを習慣化してみてください。物事を新しく始めたり、続けることはとてもハードルが高いものです。しかし、何度か続けるうちに習慣になります。習慣を行うことは、そこまで大きな労力はいらないと言われています。また、このように問題に対処することを習慣化すると、脳がストレスホルモンの分泌を抑制するようになるそうです。

Column コーピングは元気なときに考えておく

コーピングリストのようなメンタルヘルス対策は、なるべく元気なときに用意しておきましょう。疲れているときや気分が落ちているときは考えが後ろ向きになっていることが多いので、なかなか有効な対策が出てきません。元気なときに考えておき、困ったときやつらいときには、「用意したものを見れば実行できる」くらいにしておくと、より使いやすいと思います。

 実際に用いられていたおススメのコーピング例

さて、コーピングについての知識は深まったでしょうか。それでは最後に、これまで関わった方々が実際に使っていたコーピングの中から、個人的に「いいな」と思ったものをご紹介します。

・海を見に行く

すみません。関わった方々……と言いつつ、これは私がよくやるコーピングです。落ち込んだときによく海に行くのですが、鼻いっぱいに広がる潮の香り、波の音、肌に触れる水滴の冷たさを味わっていると、嫌なことを考える余裕もありません。特に、嫌なことを何度も思い出してしまうような方は、五感で「今、この瞬間」をたっぷり味わってみてください。過去への後悔や、未来への不安から離れて、意識を “今“ に引き戻せるそうです。ぼーっと眺めているだけでとっても癒されますよ。

・深呼吸をする

これは、緊張しやすかったり、過呼吸になったりする方におススメです。緊張状態に陥ると、心拍が増加し呼吸が浅くなります。こういった身体の変化を脳が感じとり、余計に緊張を高めることがあるそうです。いきなり気持ちを落ち着けるのは難しいので、まず物理的に呼吸を落ち着けるのが効果的です。『2:1の呼吸』といって、鼻から時間をかけて空気を吸い込み、それを口から倍の時間をかけて吐くことを繰り返してみてください。ちなみに過呼吸は口呼吸で起こる現象なので、鼻から吸って口から吐くという動作が、これを落ち着けてくれるそうです。

・旅行に行く

コストはかかりますが、これも優秀なコーピングですね。私たちは普段、家と職場(または学校)を行き来して生活しますから、気が付くと、“その往復が生活の全て” になりがちです。私たちは、『場所』と『機能』を結びつけて反応する生き物なので、そんな生活では仕事や学校のことが頭から離れづらく仕事モードから解放されません。また、会社ではサラリーマン、家ではお父さん、といったように、何等かの役割に縛られて常に肩に力が入っている方もいるでしょう。旅行をして “場所を変える” ことで、こういった日常のしがらみから解放され、リフレッシュ出来ます。

・笑いに変える

これはある患者さんから聞いた話なのですが、非常に秀逸だったのでご紹介します。何か嫌なことがあるときに、頭の中で「ショートコント、〇〇」と唱えてからその出来事に向き合うというものです。例えば、これから上司に報告をしなければならず、恐らくその報告に対して叱責を食らうと推測される場面があったとします。そんなとき、上司のデスクに向かう前に、「ショートコント、話の長い上司」と頭で(または小声で)呟いてみるのです。もちろん、何かが大きく変わるわけではありませんし、向き不向きはあるかと思います。しかしこのように、嫌な出来事を笑いに変えるユーモアが、コーピングとして機能します。

・専門家に相談する

これは、とても現実的で効果的なコーピングの1つです。相談をすることで、自分の思いが整理されたり、専門的な知識が得られるかもしれません。その状況を全く別の視点から見直すことが出来るかもしれません。何より、誰かに話すことで気持ちが楽になることもあるでしょう。

・日記を書く

これも、優秀なコーピングの1つです。日記に思いを書き出すことで、自分の考えが整理され、明確化されます。また、書き出すことを通じて思いを吐き出し、それがストレスを低減させるかもしれません。日記には、三行日記や、書きたいときだけ書くなど、様々な方法があります。日記を書くこと自体がストレスになっても本末転倒ですので、ぜひ自分に合う方法を探してみてください。

・コミュニティを増やす

所属するコミュニティが限られていると、その限られた世界で「上手くやっていかなければいけない」と息苦しさを覚えてしまうことがあります。ときには、そこでの人間関係を壊すことを恐れ、本音が言えなくなったり、相談できなくなったりすることもあるでしょう。一方で、複数のコミュニティに所属していると、1つのコミュニティに執着しづらくなり、仮に1か所で上手くいかなくても、「そこが全てではない」と思えたります。片方での出来事をもう片方の誰かに相談することも出来ます。ぜひ、自分が居心地がいいと思えるコミュニティを増やしてみてください。

・自分を許す

仕事で失敗をしたときに、「何であんなミスをしたのか」「自分はダメな人間だ」と必要以上に自分を責めて苦しくなった経験はありませんか。誰にでも覚えのある感覚だと思いますが、自分に厳しい人は、常に高いレベルを自分に求め、出来ていない部分にばかり目が向くそうです。それをバネにして成長するのもいいですが、そればかりだと、どこかでガス欠になってしまいます。たまには、“完璧でない自分” を許してあげてください。私は「あのときの自分は、あの状況で精一杯にやったんだ。仕方ない」と自分に言い聞かせて自分を許し、そのうえで経験を次に活かすようにしています。

さて、いかがでしたか。コーピングは、メンタルヘルスを考えるうえで非常に重要な概念の一つになります。他の知識やスキルと組み合わせて使うこともありますので、興味のある方はぜひ学んでいただき、自分なりのコーピングを試して欲しいと思っています。

これは常々思うことなのですが、人生をよいものにするためには、よい仕事をして自信を高めたり、成果を得たいですよね。そのためには、高いパフォーマンスを発揮する必要があり、そのためにはまず自分の心身を整えて、気力を充実させる必要があります。若いときは、熱意とがむしゃらさで何とかなったとしても、ある程度の年齢になると、やはりそれだけではどうにもなりません。どこかで無理がたたります。ですから、コーピングを含む様々な知識を用いて、みなさんが少しでも健康になり、十分にパフォーマンスを発揮して自信を高め、それがよい循環を生み出し、幸せな生活につながることを願っています。

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